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妻の不貞に怒った男の驚くべき復讐とは?破天荒なR18コメディに松尾スズキが込めた思い

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初めて監督・脚本・主演のすべてに挑んだ理由

もし自分がコメディ映画を撮るなら、他の人がやったことのないジャンルにチャレンジしたいという思いがありました。そこで今回思いついたのが、ジェラシーという感情で人を笑わせること。

ジェラシーの真っただ中にいる本人はシリアスだけど、周りから見たら面白いんじゃないかなと考え、セックスを復讐の題材にするアイデアが生まれました。普通の監督ならそんな題材で描きたいと思わないだろう、というニッチな部分を攻めてみたくなったんです。

今までも自分が作る映画にちょこちょこ出演したけど、自分が思うように笑いを取る演技ができず、もっと映画の中で自由に笑いを取る役を演じたいなと思っていました。映画を撮る俳優はウディ・アレンなど自ら主演している人が多く、やっぱり思い描くようなコメディを撮るなら主演を務めることも大事かなと感じ、「自分の体が自由に動く間にせめて1本ぐらい」という思いから初めて自分の主演映画を作ったのです。この映画は意外と監督筋に評判が良くて、白石和彌さんや行定勲さんたちも褒めてくれましたよ。

窮屈に生きる現代人の捧げる大人のためのコメディ

映画だと演じている最中に誰かが笑うことがないので、たくさんの作品に出演しているうちに、何が面白いのか自分で判断がつかなくなっていくんです。面白いかどうかはモニター越しに自分で判断するしかないから、悩んだ挙げ句に翌日に撮り直すこともあります。また、面白いものでも編集によってつまらなくなることもあるから難しい。逆に、編集によって何とかなることもあるんですけどね。そこが演劇との大きな違いかな。

僕はチャップリンやキートンといった伝説のコメディアンの作品を見るのが好きで、ひと通り影響を受けましたが、監督・脚本・主演を兼任する人として最も好きなのはメル・ブルックス。お年を召してもくだらないことをまっすぐにやり続ける根性が大好きなんです。

日本の映画で大人が笑える作品ってなかなか少ないじゃないですか。大人が“大人だけの楽しみ”として、自分たちの経験値だけで寛容に笑える空間を楽しんでほしいですね。自分もそういう映画が見たいし。最近、モラルや道徳に対して厳しい目を向けるネット社会に窮屈さを感じる人たちに、ひと時でも息苦しさから解放されたらいいなと思っています。

(映画監督・脚本家・俳優 松尾スズキ)

movie info

作品名
『108~海馬五郎の復讐と冒険~』(2019年)
監督
松尾スズキ
出演
松尾スズキ/中山美穂
公式サイト
http://108-movie.com/
2019年10月25日(金)ロードショー

(C)2019「108 海馬五郎の復讐と冒険」製作委員会

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