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“家族の崩壊と再生”に少年は何を感じたか?キャリア屈指の名演を魅せたキャリー・マリガンが新作を自ら語る

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すれ違う両親──強くて脆い母親をどう演じたか

この物語の魅力は、困難な試練を通じて家族の絆が試されているところにあると思います。私が演じた主人公の母親ジャネットは、ある朝起きると、10代や20代の若い時期が終わったことに気づく──そんな急に起きる“むち打ち”のような感覚を抱いているの。

何かに挑戦できるような時代は終わり、母親や妻として生きなければならない。そのことが信じられないジャネットは、すべてを燃やしてもう一度やり直そうとするのよ。

私はそうしたいとは思わないけど、21歳の時のようにすべてが自由ではなく、朝起きた時に結婚していて子供が2人いる生活に驚く気持ちは分かるわ。幸い私はこれまで積み重ねてきたものに満足しているけど、ジャネットはそうではない。だからとても怖い感情でしょうね。

私が以前出演した映画で、性格や素行が悪く、倫理的によくないことをする女性を演じたことがあります。でも完成した段階ではそのシーンがカットされていて、その理由を監督に尋ねたら「試写で観客の反応が悪かったから」と言われたの。ひどいわよね。失敗を見ずにその人物のすべてを理解することなんてできないのに。

その点この作品では、ジャネットが犯した間違いも描かれることに新鮮さを感じたの。最低な行いがその人を決めるわけではないし、善良な人でも間違えることはある。だから、たとえ間違いを犯しても良い母親にはなれるはずよ。

監督デビューを果たした個性派俳優ポール・ダノの手腕

インディペンデント映画の撮影はあわただしいものだけど、ポール・ダノは初監督という感じをまったく与えず、常に冷静でした。時間を有効に使うことが求められる中、自由に演技ができる温かい雰囲気を作ってくれたり、ストレスを感じさせなかったわ。

この作品はベストセラー小説を映画化したもので、まずポールが小説を気に入り、脚本のゾーイ・カザンが何度も下書きを書き直したそうよ。家族の愛が様々なことを通して試されながら、強く生きる物語になっているの。

原作者のゲイリー・シュタインガートも映画化を快く承諾し、「私の本だけど映画は君のものだ。好きに作ってくれ」と言ってくれたんだとか。原作の中核にある家族の物語を忠実に描きつつも、別の作品として作り上げる自由があったから、決してそれが創作の足かせになっていない──小説の映画化としては完璧な作品ね。

主人公の少年を演じたエド・オクセンボウルドは、尊敬すべき素晴らしい俳優よ。誰かがこう言ってたわ。「エドと共演すると、子役であることを忘れてしまう」って。この物語は彼の視点で描かれるのだけど、14歳の子って周りで起きていることをすぐに消化できないものよね。

消極的な性格だけど行動的な側面もあるキャラクターで、知りたくないことを知ってしまった嫌悪感や苛立ち…そんなどうしようもない気持ちのすべてがエドの演技から見え隠れするのよ。

私はそれほど長いこと俳優をやっているわけではないけど、今までの経験から「現場を楽しみたい」と思っていたの。その点、今回の撮影は期待以上! ジェイク・ギレンホールや天才的なビル・キャンプと共演できて刺激をもらえたし、しかも友達であるポールやゾーイと一緒に働けて、私にとって理想的な現場だった。友達が集まって何かを作っている感じだったわ。

(女優 キャリー・マリガン)

movie info

作品名
『ワイルドライフ』(2018年)
監督
ポール・ダノ
出演
キャリー・マリガン/エド・オクセンボウルド
公式サイト
http://wildlife-movie.jp/
2019年7月5日(金)ロードショー

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