film talkfilm
talk

15歳の“少女”の葛藤が胸に刺さる…カンヌ国際映画祭で絶賛された新鋭ルーカス・ドン監督が新作を自ら語る

#REVIEW
  1. TOP
  2. FILM TALK

物語が生まれたきっかけは1つの新聞記事

この作品のアイデアを得たきっかけは、2009年にベルギーの新聞で読んだ15歳のララについての記事です。

彼女はバレリーナを目指すトランスジェンダーですが、バレエ学校に女子クラスへの変更を認められませんでした。ララは15歳という若さで、本当の自分でいるために闘ったのです。男女二元的な社会規範の中ではとても難しいことなのに。私はノラの勇気に感動し、彼女に連絡を取って「君の物語を映画化したい」と伝えました。

そして彼女と親しくなり、8年後に映画を完成させたのです。主人公ララは社会的に構築されたジェンダーとは異なる人生を歩みますが、この作品で問いかけているのは誰の人生にも当てはまることです。それは「自分の個性を消して周囲に合わせ、型にハマって生きるのか」という、アイデンティティにまつわる普遍的なテーマ。

性別や年齢やセクシャリティに関係なく、誰もが同じことを自問するでしょう。そういう意味で、幅広い観客たちがララというキャラクターに共感できるはずです。

ララという難役に新星ヴィクトール・ポルスターを起用した理由

ララ役のキャスティングは非常に難航しましたね。卓越したバレエダンサーでなければシディ・ラルビ・シェルカウイの振付は踊れないので、オーディションには若いバレエダンサーを集めました。

その中でもヴィクトールが部屋に入ってきた時のことは鮮明に覚えています。彼は天使のように繊細で凛々しくもあり、ひときわ光る存在で、その場にいた誰もが目を奪われました。そこで父親役のアリエ・ワルトアルテと早い段階で会わせたところ、2人の間に強いケミストリーを感じたのです。あの雰囲気は芝居で作れるものではありません。

そうしてヴィクトールの抜擢を決意しました。ただしヴィクトールは男性バレエダンサーだから、それまでトウシューズで踊った経験がない。撮影の3ヵ月前からトウシューズで練習してもらったけど、とても大変そうでした。それでも限られた時間の中で、普通の人なら2〜3年かけて習得することをマスターし、トウシューズで踊るという挑戦を通してララの心情を深く理解できました。

ヴィクトールが役者として追求したことと、ララが作品の中で経験することが重なったからこそ、彼はララに成りきれたのでしょう。日本の皆さんにもララに共感してもらえると嬉しいですね。そして、ララと家族が辿る旅路を楽しみ、記憶に残る作品になることを願います。

(映画監督 ルーカス・ドン)

movie info

作品名
『Girl/ガール』(2018年)
監督
ルーカス・ドン
出演
ヴィクトール・ポルスター/アリエ・ワルトアルテ
公式サイト
http://girl-movie.com/
2019年7月5日(金)ロードショー

NEW ARRIVAL