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それぞれの夢を追う男たちを描く歴史大河コミックを空前のスケールで映像化。佐藤監督が語る!
全力で創り上げた360度の異世界
原作漫画のことはもちろん以前から知っていて、また「この作品を映像化したい」と言う声をよく聞いていました。そんな日本の漫画界を代表する作品の監督が自分の元に回ってきて、ある種のときめきを抱きました。
映画というのはイマジネーションで作り上げられる世界ですが、撮影にあたって実際にその世界の中に入っていくことになりますよね。そういう意味で「『キングダム』の世界に行ってみたいな」とドキドキしたわけです。
『キングダム』に対して“過去に実際にあったであろう物語”のように見てほしい思いがある一方、それ以前に“異世界の人物たちによる寓話”でもあります。
原作漫画もそうなのですが、各キャラクターが「実際にはこんな人いないよな」と思うぐらい濃くて、そこが面白いところ。そうした戯画化されたキャラクターならではの面白さを失わないようにしつつ、実際に存在してもおかしくないと思えるように──。
なかなか難しいバランスなのですが、紀元前200年代の中国という遠い時代の世界ではあるものの、その人物の気持ちが分かる!と入り込めるような、突き抜ける熱量が画面からあふれ出る。そんなキャラクター作りを目指しました。信や嬴政も“実際にいたらこんな姿形やしゃべり方で、こんなパッションを持っているんじゃないかな”と感じてほしいですね。
そうしたキャラクター作りはもちろん、『キングダム』という大作映画の中に入っていくための最大のカギは、360度の異世界を成立させることだと思っていました。ただし、これまで『GANTZ』や『デスノート』など特殊な作品をいくつも手がけてきましたが、いずれも現実世界の中にある種の特殊なものが交じっているという設定で、『キングダム』のように360度が異世界に包まれている作品はあまり手がけていません。
紀元前200年代の時代ものだし、舞台となる中国に住んだ経験もないので、360度の異世界を組み立てることに大きなパワーを使いましたね。
行きつく先が想像以上の広さであってほしい
『キングダム』の原作漫画の魅力は、主人公の信が奴隷から夢を追っていき、絶対不可能と思われていたものを少しずつ掴みかけていくところにあると思います。実は私も夢を抱いて田舎から出てきて、いつしか映画を作るようになり、今こうやって『キングダム』にたどり着いたわけです。昔はシネコンもなければインターネットもビデオもなく映画を見ることすら難しい時代で、だからこそ逆に映画が輝いて見え、映画の中の住人になるトキメキに魅せられ続けてきました。
日常の些細な題材を扱った作品でも今回のような大作でも、最初に思い描いていた地点から2時間を経た最後には、すごく遠くて広い思わぬ地点までたどり着いてしまった──そんなものを常に映画の中で作り続けている気がします。
『キングダム』はまさしくそうした変遷を描く作品だったので、何を描けばいいかが分かりやすく、そして“遠くて広い思わぬ地点”にたどり着きやすかったですね。
(映画監督 佐藤信介)
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