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モト冬樹が「一番怖いホラー映画」をテーマにお気に入り映画『エスター』をセレクト
私の妻はホラー映画が好きで、日本から東南アジア、さらにヨーロッパやアメリカまで、ありとあらゆる国の作品を見ています。そんな妻が「これまで見てきた中で一番怖かった」と言ったのが『エスター』です。
平和な一家に恐怖をもたらす孤児・エスターを演じる子役のイザベル・ファーマンが、ド肝を抜かれるぐらいスゴイ!
最初に夫婦が孤児院で出会った時はメチャクチャ可愛いのに、ストーリーが進むにつれて顔が4段階ぐらい変わっていく…。当時のイザベルが12歳と聞いてぶっ飛びましたよ。その年齢でこれほどの演技ができるなんて、それ自体がホラーでもありますね。
またこの物語はまったくありえない話ではなく、「こういう怖い奴ってわりと実際いるじゃないか」と思える範疇で描かれているんですよ。エスターは恐ろしいことを平気でやれるキャラクターで、例えば亡くなった実子のために継母が庭に花を植えるシーンの後でその花を摘んでプレゼントとして贈る──そんな強烈なシーンがたくさんあります。
ただ不思議なことに、おぞましいけど見終わった後に不快感が残らないので、ぜひオススメしたい作品です。
他に注目したいキャラクターが、エスターの継父。エスターを信じたいという気持ちは理解できるのですが、あまりにも鈍すぎてイライラすること必至! そんな父親にエスターがあるリアクションを起こすシーンがあって、それがまたスゴイ。
こうした要素が組み合わさっていくことでずっとドキドキし、壮絶なラストまで飽きずに見ることができます。
そのラストのオチがまたとんでもない! 私は映画好きだから「きっとこういうオチだろうな」という想像はだいたい当たるのですが、今回はまったく想像のつかないものでした。見る人に「なんでだよ」というフラストレーションをためさせながら最後まで引っ張る構成が、とてもよく出来ていますね。
もちろんイザベル・ファーマンというスゴイ子役の力があってこそ。物語も怖いけど、イザベル・ファーマンもある意味怖い。日本でこういう映画を作るのは無理じゃないかな。
一番怖いのはお化けでも悪魔でもなく人間なんだよ、と教えてくれる映画ですね。
PROGRAM INFO
- マイチョイス
- モト冬樹
- 放送映画
- 『エスター』(2009年)
profile
モト冬樹MOTO FUYUKI
TV番組
「ものまね王座決定戦」(フジテレビ)
「THE 夜もヒッパレ」(日本テレビ)
映画
「ヅラ刑事」「ヒミズ」など その他多数出演
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