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アジア映画の世界への入り口『大阪アジアン映画祭』!プログラミング・ディレクター暉峻創三(てるおか・そうぞう)さんに聞いてみた!

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3月8日(金)~17日(日)に大阪ABCホール他にて開催される『第14回大阪アジアン映画祭』。大阪から日本、そしてアジアや世界へ新しい才能を発信する映画祭の魅力や成り立ちについてプログラミング・ディレクターの暉峻創三(てるおか・そうぞう)さんにお聞きしました。

大阪アジアン映画祭のテーマやコンセプトを教えてください。

「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」を標語に掲げています。単に話題作や名声を確立した監督の作品を大阪で上映して終わるのではなく、ここ大阪発で、アジアの新しい才能や潮流を発見し、それらを後押しすることで、日本全国、そしてアジアや世界へと向けて一定の役割を果たせる映画祭になることを目指しています。

たとえば昨年グランプリに輝いた香港映画『中英街一号』は、その政治的な内容や低予算製作のせいもあって現地での商業公開の目処が立っていなかった作品でしたが、大阪でのワールドプレミア上映で受賞に至り、それが現地でも大きく報道されたため、一転、現地ロードショーが実現しました。

また近年は、大阪でワールドプレミアされた日本映画が、その後ヨーロッパの著名映画祭に招待されていくという流れもできてきています。

14回目の開催となりますが、大阪で立ち上げられた理由は?

映画祭を立ち上げたのは私ではありませんが、初回は2005年に<韓国エンタテインメント映画祭2005 in 大阪>として始まりました。翌年から韓国映画だけでなく中国語圏の映画なども上映されるようになり、大阪アジアン映画祭という名称での開催になりました。

当時は、東京よりもアジア映画鑑賞機会の少ない大阪、という観点から、東京では上映されていても大阪ではなかなか見る機会のないアジア映画を上映する、という性格が強かったと思います。

実際、フィルムを借りるのもほとんどが東京からでした。現在のように、東京を経由せずにアジアや世界と直接やりとりしている形とは対照的な方向を向いていたとも言えます。
第4回から少しずつ方向を転換していき、「アジア映画のゲイトウェイ大阪」という立ち位置を強く意識したプログラムに代わっていきました。

映画祭を続けてきて、お客様の反応は変わってきましたか?

今では、春のこの時期をとても楽しみに待っていてくれるお客さんが非常に増えました。地元からだけでなく、東京をはじめ全国から、そして海外からも見に来てくれるようになったのも、大きな変化です。

一般のロードショーでは韓国、香港などの作品に人気が偏り気味ですが、大阪アジアン映画祭ではフィリピン、タイ、ベトナムなど東南アジア映画の人気も急速に高まっているのを感じます。

今年は本映画祭史上初めてベトナム映画『パパとムスメの7日間』がクロージング・フィルムに選ばれましたが、これもこれまでの積み重ねから、クロージング・フィルムの座にベトナム映画を持ってきても存分にお客さんの期待に応えられると判断してのことです。

今年の映画祭で特に意識されているテーマやコンセプトはありますか?またオススメする作品や企画を教えてください。

年ごとに異なったテーマやコンセプトを予め意識することはありません。特集のアイディアも、時にはプログラム発表数日前になってようやく閃きます(笑)。まずは先入観なく候補作品を見ていって、最後に自然とフィーチャーすべき潮流やテーマ、人が見えてくる感じですね。

そんななかでもここ5年ほどは東南アジア映画の存在感が大きいプログラムとなっていたのですが、今年に限って言えば、韓国、中国、香港、フィリピンなど比較的近距離のアジアから新世代の素晴らしい才能が続々現れてきたのを感じたので、それらを特に手厚く紹介しています。

『金子文子と朴烈』の主演女優チェ・ヒソが主演した最新作『アワ・ボディ』、同じく韓国映画でムン・ソリらが出演している『なまず』、他にも田壮壮がプロデュースした中国映画『過ぎた春』、同じく中国から『美麗』や『桃源』、そしてフィリピンの『視床下部すべてで、好き』『七夕の妻』『永遠なる瞬間』、香港の『G殺』『みじめな人』『女は女である』など、どれも新人監督の長編デビュー作ですが、途轍もない才能が登場したことを実感してもらえると思います。

フィルム・コンペティションについて教えてください。

コンペ部門とそれ以外の部門・特集で、特に傾向が異なるわけではありませんし、コンペ特有の審査ポイントがあるわけでもありません。自然に表れてきた傾向の一つが、先にも述べた新世代監督の圧倒的な台頭です。

一方でコンペ部門には、スリランカの鬼才として世界的な名声を誇る巨匠アソカ・ハンダガマの新作『アサンディミッタ』も入選しています。まだベトナムの『ハイ・フォン』は、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』にも起用されたトップ女優ゴ・タイン・バン(ヴェロニカ・ゴー)主演のアクションとして何よりも話題ですが、同時に世界の国際映画祭に入選を重ねてきたレ・ヴァン・キエの監督作でもあります。

もう一つ、今年特に顕著に表れた特徴としては、マッチョな男性性の消失、伝統的男女関係構図の消失が挙げられるかもしれません。

大阪アジアン映画祭では作品応募・登録用紙に性別記入欄を設けていないので断定はできませんが、どうやらコンペ部門では男性監督が少数派になったようです。

また全部門・特集を通じて、日本映画『浜辺のゲーム』、韓国の『アワ・ボディ』、中国の『美麗』、フィリピンの『ビリーとエマ』、香港の『女は女である』のように性的アイデンティティの曖昧さや揺らぎ、女同士の愛を自然に語ったものや、台湾の『小死亡』のように高齢に達した女の性的ファンタジーを語ったものなど、旧来の男女関係構図や力学からは自由になった作品が目立ちます。映画祭にどっぷり浸っていただいいる間は、マッチョな男性性に支配された社会というのとは全く別の社会に生きているような感覚を持てるかもしれません。

映画祭のおすすめの楽しみ方はありますか?

チラシや公式サイトなどに載っている製作国や監督、出演スター、あらすじなどの情報を頼りに、目当ての映画を見つけて見に行くというのが一般的だと思いますが、とにかく自分の都合のいい日時にやっている映画を見てみるというやり方も、非常にお薦めです。

思いがけない形で、一挙に自分の関心領域が拡がり、新しい世界を知る体験ができるはずです。多くの上映で終映後に監督や俳優たちが登壇して観客との質疑に応じる場を設けてもいますので、仮に見た映画がさっぱり解らなかった場合でも、監督たちの説明から何か知らなかった世界に親しみを感じることができるはずです。

最後に、皆さんにお伝えしたいことがあればぜひ。

大阪アジアン映画祭では、日本映画もアジア映画の一つとして扱っています。日本映画とはいっても、なかなかロードショーには至らないものもありますので、お見逃しなく。また映画祭では上映のみならず、タイ映画やインドネシア映画をテーマとしたシンポジウム、ディスカッションなども行っています。現地を代表する映画人が参加しての貴重な機会ですので、これらも是非お気軽にご参加ください。

event info

映画祭名
『第14回大阪アジアン映画祭』
概要
2019年3月8日(金)~17日(日)にABCホール 他にて開催。
チケット絶賛発売中!http://www.oaff.jp/2019/ja/ticket/
公式サイト
http://www.oaff.jp/2019/ja/

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