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誘拐事件を解決するカギは、電話のやり取りだけ──斬新なアイデアに驚くデンマーク発の極限サスペンス

#REVIEW
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電話の声と音のみで展開していく新感覚サスペンス

正直なところそんなに期待していなかった作品ですが、面白かった! 

主人公の警察官アスガーは、ある事情から第一線を退いて緊急通報指令室のオペレーターを務めているのですが、ある日イーベンという女性から1本の緊急電話を受け取ります。

なぜか会話がうまく成立しないので不審に感じたアスガーは、どうやら彼女が誘拐されている途中に電話しているようだと察知し、電話のやり取りだけで誘拐事件を解決しようとするのです。

この作品が面白いのは、緊急通報指令室の中というワンシチュエーションで展開するところ。誘拐されているかもしれない現場や、犯人がいるかもしれない家に警察官を送るのですが、それらのシーンはまったく映像として映らず、観客はアスガーが電話に応対するシーンのみを見せられることになります。しかも画面に映る主要キャストもアスガーだけ。

見ていて退屈しないか?と思いがちですが、ありのままの出来事を映像として見せられるよりも、このように観客に想像する余白を与える見せ方こそ作品の幅も広がるもの。

何が起きているか見えないことで、電話の向こうのドラマを想像することができる──。きっと見る人ごとに違った感想を持つでしょう。

このあたりはグスタフ・モーラー監督の手腕だと思うのですが、彼は弱冠30歳で、しかもこれが長編デビュー作。彼が書いた脚本もとてもよく練られていて、実に唸りました。キャストが少ないワンシチュエーションものというのは低予算映画によく見られる特徴なのですが、逆に言うとキャストやセットにお金をかけられない低予算を逆手に取った賜物と言えるでしょう。

(映画パーソナリティー コトブキツカサ)

世界中の映画祭で観客賞を総なめにした注目作

グスタフ・モーラーという1998年生まれの若手監督によるこの作品は、パソコン上ですべての物語が進行するスタイルで話題を集めた『search/サーチ』と並んでサンダンス映画祭観客賞を受賞。また、今年のアカデミー賞外国語映画部門のデンマーク代表作品にもなっていて、作品も監督も今後ますます話題を集めることでしょう。

この作品は電話を通じた声や音のみで進行していく物語で、脚本がよく練られています。途中で物語のすべてがひっくり返るようなシーンがあるので、ぜひ注目してください。

主人公の緊急通報指令室オペレーターが無言で「マジか」という表情になり、私も同じく「マジか」と思いながら息を呑みました。

このようにサスペンスが物語のキーとなりますが、謎が解き明かされていく過程を楽しむだけの作品ではありません。主人公も事件を通報してきた人も、いろいろな人生の問題を抱えていて、それらが1本の電話でつながっていく。

すべてが解決するかしないかのところで物語がどんどん進行しながら、やがて主人公は新しい人生の一歩を踏み出していく──そこに『THE GUILTY/ギルティ』というタイトルの意味が掛かってくるのです。

見終わった後、ただ単に「面白かったな」と思うだけでなく、じんわりとヒューマンな印象を受ける作品に仕上がっていますよ。個人的には、山田太一監督の往年のドラマを見たような気持ちになりました。

(映画ライター 大山くまお)

movie info

作品名
『THE GUILTY/ギルティ』(2018年)
監督
グスタフ・モーラー
出演
ヤコブ・セーダーグレン/イェシカ・ディナウエ
公式サイト
https://guilty-movie.jp/
2019年2月22日(金)ロードショー

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