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貧しき女性たちを救った実在のヒーロー!インド映画得意の歌とダンスを交えて再現する感動の実話

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インドで“生理用品”の普及に生涯をかけた男の実話

この物語はすごく変わっていて、そしてとても共感できる内容です。インドでは女性の生理がタブー視されていて、恥ずかしいこととして隠そうとし、清潔な処理も行われないのが実状。自分の妻のそうした姿を見かねた一人の男が商業用ナプキンを軌道に乗せようと奮闘する実話で、見る価値のある作品に仕上がっています。

主人公のラクシュミは妻や貧しい女性たちのためにナプキンを作ろうとするのですが、もちろん最初はなかなかうまくいきません。やがて吸湿性の高い素材を見つけて改良し、ナプキン製造機も自分で発明しようとする。そこには『下町ロケット』で描かれるような日本のモノづくりにも相通じるところがあり、手作りのモノがだんだんワールドワイドになっていく夢が感じられます。

さらにラクシュミは美人女子大生の口利きでコンペに参加したことをきっかけに、さらなる世界的な成功を収めていきます。そうした単純明快なサクセスストーリーとしてのリズム感もたまりません。

目覚ましい発展を続けているインドは、2024年には中国を抜いて世界最大の人口に達すると予測されています。その中には貧しい人も多いわけですが、さらなる需要が眠っているとも言えます。アイデアさえあれば、貧困の中から富をつかむことも夢ではない──そうした起業大国インドのビジネスモデルを体現したような映画です。

(映画ライター 清藤秀人)

クライマックスの演説シーンは圧巻

主人公のラクシュミはピュアな人物で、生理用品を開発・販売しようとする彼の行動は善意に基づいたもの。それでもインドにおいて生理は最大のタブーで、結果的にインド社会の根深い部分に斬り込んでいくことになり、この作品における最大の見どころ。インド社会の価値観の変革へとつながる「安価な生理用ナプキンの発明」と「流通の発明」は、実現までの過程が壮絶の一言に尽きます。

そんな中でも注目してほしいのが、作品のテーマ性が凝縮されたニューヨークでの演説です。ラクシュミの演説は英語の通訳が入るのですが、やがて下手な英語でも自ら聴衆に語りかけようとします。言葉で見せる演説シーンはうまく描かないとダメなシーンになるものですが、この作品の演説は古典的名作『スミス都へ行く』『チャップリンの独裁者』すら思わせるような名シーン!

「利権よりも分配を」「女性が強くなることで世界が良くなる」といった作品のイデオロギーや理想を爽やかに主張し、本来は“部外者”である男性がフェミニズムに参加する意義まで考えさせられます。

ちなみにR・バールキ監督の奥さんも映画監督で、インド人主婦の自我のあり方を描いた秀作『マダム・イン・ニューヨーク』を手がけています。つまり『パッドマン』がテーマとする「男性にとってのフェミニズム」とは、バールキ監督が普段奥さんとのコミュニケーションを通じて考えていること。そうした監督の思想がマサラムービーという娯楽映画を通じて不意打ちのように響いてくるサプライズ的な面白さも含めて、絶対に見逃せない傑作ですよ。

(映画ライター 森直人)

movie info

作品名
『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018年)
監督
R・バールキ
出演
アクシャイ・クマール/ソーナム・カプール
公式サイト
http://padman.jp/
2018年12月7日(金)ロードショー

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