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ディケンズの名作文学「クリスマス・キャロル」の創作秘話が豪華キャスト競演のファンタジーに

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ユニークな演出で魅せる作家の人生

過去に何度も映像化された名作文学「クリスマス・キャロル」の原作者ディケンズが主人公の作品です。物語を作る作家自身が、変わった人生を送っている──それって見る側にとっても面白いですよね。この映画はまさにそうです。

その中で興味深く感じたのは、演劇の演出方法が取られていること。例えば、ディケンズが「クリスマス・キャロル」の主人公の名前を考えようと苦戦し、ようやく「スクルージだ!」と思いついた瞬間にスクルージの姿がポンと現れたりとか。スクルージを演じているのはオスカー俳優クリストファー・プラマーで、彼がいないシーンが寂しく感じるほどの存在感を出しています。

一方、ディケンズを演じているのは実写版『美女と野獣』のダン・スティーヴンス。もともと演劇の経験もある俳優で、創作活動における葛藤、幼少期に傷ついた心の闇、さらに家族を持つ父親と作家としてのバランスに悩む姿を見事に演じています。こうした様々な苦しみを乗り越えていくディケンズの姿を通じて、学ぶことがたくさんあるのではないでしょうか。

(映画パーソナリティー 伊藤さとり)

現代のクリスマス文化を紐解く物語

「クリスマス・キャロル」がどのように書き上げられていったかが分かると同時に、クリスマスという文化がどうやって出来上がっていったのかも分かる作品になっています。

この映画の舞台である19世紀のロンドンでは、実はクリスマスは大々的に祝われていませんでした。だからディケンズがクリスマスについての物語を出版社に提案しても、「売れるわけない」と鼻で笑われてしまいます。

ところが「クリスマス・キャロル」はベストセラーとなり、“寛容な心”“人々を救済する気持ち”といった小説のテーマが実際のクリスマスに宿っていく──そうしてクリスマス・イヴは「優しく温かい気持ちで過ごす日」「家族など大切な人と過ごす日」として大々的に祝われるようになった。こうした変遷がこの映画を見ることで分かります。

また吹替版では小野大輔、坂本真綾、市村正親といった豪華キャストが声優を務め、さらにオリジナルの脚本に対してセリフがかなりアレンジされています。そうすることで「クリスマス・キャロル」がどのように生まれたか、そしてクリスマスがどのように風習化していったかという話がスッと入ってくるようになっているので、ぜひ親子連れで見に行ってほしいですね。

(映画ライター 大山くまお)

movie info

作品名
『Merry Christmas!〜ロンドンに奇跡を起こした男〜』(2017年)
監督
バハラット・ナルルーリ
出演
ダン・スティーヴンス/クリストファー・プラマー
公式サイト
https://merrychristmas-movie.jp/
2018年11月30日(土)ロードショー

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