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愛する妻をそばで見守りたい──幽霊になった男の美しくも切ないファンタジードラマ

#REVIEW
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ゴーストを主人公にした斬新な物語

夫婦役のケイシー・アフレックとルーニー・マーラ。この2人だけでほぼ構成されている作品です。ある日夫が自動車事故で亡くなり、妻は買ったばかりの新居に一人取り残されてしまう。彼女が悲しみに暮れていたところ、なんと夫が幽霊として蘇ります。しかも白いシーツを身にまとった姿で!

夫は新居に居座って妻を見守り続けるのですが、面白いのは幽霊が家の外から出られないこと。例えば、外出する妻を追うことができない。いわば、家に“憑いている”状態です。

幽霊が主人公とはいえ、この作品はホラー映画ではありません。魂の行き先はどこなのか?愛とは何か?人と人のつながりとは?そうした思想的なテーマをスピリチュアルに描いた作品なのです。命について考えさせられると同時に、“人間はどこから来たのか”といったことにも考えを巡らせることができて楽しいですよ。

またこの作品は、あえてセリフを少なくしているのも特徴的。幽霊になるとしゃべることができず、必然的に音が際立ってきます。生前の夫はミュージシャンという設定で、そこから音楽が効果的に用いられています。ぜひ五感で体感してほしい作品ですね。

(映画パーソナリティー 伊藤さとり)

姿だけで理解できるゴーストの心情

突然亡くなった夫が幽霊になって妻を見守るという設定は『ゴースト/ニューヨークの幻』と同じパターンなのですが、展開はまったく異なります。「え、これってそんな映画なの?」と誰も予測がつかないと思います。SF的な要素があるかと思えば、人生観を説く哲学的な要素もあり、新鮮な驚きを与えてくれます。

この作品はセリフが少ないのですが、演技や風景の切り取り方が素晴らしい。愛・悲しみ・喪失感・憤りといった私たちが体験すること、つまり人生の側面が巧みに映し出されていて、言葉がなくてもキャラクターの気持ちが伝わってきます。

また、映像のサイズも特徴的。真四角で四隅が丸くカーブしていて、一昔前の写真のような雰囲気です。古いアルバムをめくっているような感覚になり、物語のトーンにとてもマッチしていますよ。

(映画ライター 山懸みどり)

movie info

作品名
『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(2017年)
監督
デヴィッド・ロウリー
出演
ケイシー・アフレック/ルーニー・マーラ
公式サイト
http://www.ags-movie.jp/
2018年11月17日(土)ロードショー

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