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ギレルモ・デル・トロ監督特集vol.02《FILMOGRAPHY-監督作品-》

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自ら会社を立ち上げ特殊メイク・造形の仕事の経験を重ね、映画監督デビューを果たしたのが 29歳の時。映画ファンとしての思いを失わないまま、映画界の頂点に立ったデル・トロの軌跡を辿る。(映画文筆:増當竜也)

■1993

『クロノス』(監督/脚本)

ギレルモ・デル・トロの記念すべき長編映画監督デビュー作。中世の錬金術師によって作られた金属細工が、時を越えて古物商を営む現代の初老の男をヴァンパイアに変えていく ゴシック・ホラー映画。

機械と生物の対峙、昆虫への異常な愛情、ハンデを背負った少女、幻想的かつ悪夢的な美 術設計など、後のデル・トロ作品にみられるこだわりがここですでに描出されている。ちなみに“クロノス”とはギリシャ神話の「時間を司る神」のこと。

■1997

『ミミック』(監督/脚本)

『クロノス』('93)が評価されたデル・トロがハリウッドに進出して監督したクリーチャー・パニック・ホラー映画。伝染病の病原菌を持つゴキブリを殲滅するために遺伝子操作 で生みだされた新種の昆虫“ユダの血統”が進化して、人間の姿に擬態(ミミック)していく恐怖を描く。

デル・トロこだわりのクリーチャー造形とその描出が圧巻だが、撮影中は製作サイドと激しく対立。デル・トロいわく「もっとも苦しんだ作品」としてもファンの間で知られている。

■2001

『デビルズ・バックボーン』(監督/脚本/製作)

『ミミック』('97)制作時のトラブルで憔悴していたデル・トロに、スペイン映画界の名匠で『クロノス』('93)を評価していたペドロ・アルモドバルが声をかけ、彼の製作で作られたホラー映画。スペイン内戦時の孤児院を舞台に、姿なき少年の水を滴らせた足跡に悩まされる孤児と、孤児院に秘められた謎を描く。

デル・トロは本作を心から誇りに思うとともに、再び創作意欲を燃やすようになり、やがて『パンズ・ラビリンス』('06)の製作へ結びついていく。

■2002

『ブレイド 2』(監督)

ヴァンパイアと人間の間に生まれたヴァンパイア・ハンター、ブレイドの活躍を描いたダーク・バイオレンス・ファンタジー映画の第2弾。

原作(マーベル・コミック)は好みではなかったデル・トロだが、映画版独自のセンスに 魅せられたことで監督のオファーを快諾。1作目のテイストを受け継ぎながら、ドニー・イェンを招いてアジア映画アクションの要素を加味。さらには持ち前の美意識を駆使し、前作以上の評価を得ることに成功した。

■2004

『ヘルボーイ』(監督/脚本)

マイク・ミニョーラの同名コミックの映画化。魔界から産み落とされたヘルボーイが、超常現象調査防衛局のエージェントとして侵略者と死闘を繰り広げていく。

もともとデル・トロが『ミミック』('97)の後に作ろうとしていた企画で、製作サイドの反対を押し切ってデビュー作以来の盟友ロン・パールマンの主演にこだわり、結果としては 彼以外にありえない異形のヒーロー像が構築された。『シェイプ・オブ・ウォーター』('17)の原点的要素もチラホラ。

■2006

『パンズ・ラビリンス』(監督/脚本/製作)

デル・トロの名声と、その独自の映像美学を広く世界に知らしめたダーク・ファンタジーの名作。『デビルズ・バックボーン』('01)に続いてスペイン内戦を背景に、空想好きな薄幸の少女が森の中の迷宮に迷い込んでいく。

『ミミック』('97)に次いで制作時のさまざまな困難を乗り越えて完成させた軌跡がそのまま映画自体の完成度に結びつき、アカデミー賞では撮影、美術、メイクアップの3部門を受賞。デル・トロ映画の最高傑作と推すファンも多い。

■2008

『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(監督/脚本)

心優しき地獄生まれのヒーロー、ヘルボーイの活躍を描いたシリーズ第2弾。伝説の最強鋼鉄兵団ゴールデン・アーミーを復活させて人類滅亡を企むエルフ族王子とヘルボーイの戦いが繰り広げられていく。

前作の世界観を踏襲しつつ、ユーモアもアクションもグレードアップ。クリーチャーの数も増え、さらには彼らの恋愛まで普通に描出しているあたり、『パンズ・ラビリンス』('06)を経てのデル・トロの揺るぎなき自信と信念を感じられる。

■2013

『パシフィック・リム』(監督/製作/脚本)

太平洋の海底から現れる怪獣に巨大ロボットで立ち向かう兵士たちの闘いを描いた SFバトル作品。日本の怪獣やロボット、それらを具現化する特撮やアニメなどをこよなく愛するデル・トロは映画のラストでレイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に献辞を捧げつつ、その実、単なるオマージュから一歩突き抜けたメカVS.生物の世界をダイナミックかつ魅惑的に描くことに成功している。菊地凛子や芦田愛菜といった日本人俳優の起用も話題を集めた。

■2015

『クリムゾン・ピーク』(監督/製作/脚本)

20世紀初頭、死者と通じ合う力を持つニューヨークのヒロインが準男爵と結婚し、クリムゾン・ピーク(深紅の山頂)と呼ばれるイギリス丘陵地帯の屋敷で暮らすことになったことから巻き起こるゴシック・ロマンス・ホラー。

デル・トロは『回転』('61)『たたり』('63)などゴシック・ホラー映画の古典の現代的再生を試み、心理的戦慄とオペラ的優雅さを巧みに組み合わせながら、闇の恐怖を美しく奏で得たフェアリー・テイルの域へと高めている。

■2017

『シェイプ・オブ・ウォーター』(監督/製作/脚本)

幼い頃に見た『大アマゾンの半魚人』('54)で、怪物のヒロインへの想いが報われなかったことを悲しんだデル・トロが、長年の願いを叶えるべく、米ソ冷戦下を舞台に政府に捕らえられた半魚人と口のきけない掃除婦の純愛に真っ向から挑み、アカデミー賞作品賞など4部門を制覇した傑作。

『美女と野獣』的世界観を忌避し、怪物は怪物のまま、ヒロインもごく普通の女性としてドラマを展開させていったのも成功の秘訣。半魚人にはデル・トロ作品に欠かせないスーツアクター、ダグ・ジョーンズが扮した。

PROGRAM INFO

BS10 スターチャンネルでは、11月に《コンプリート!映画監督ギレルモ・デル・トロ》として全10作品を放送します。また11月4日(日)よる9時からは、『パンズ・ラビリンス』を無料放送!
詳しくは、『コンプリート!映画監督特集』へ。
https://www.star-ch.jp/complete/

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