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おいしいご飯さえ食べていれば女は輝ける。小泉今日子ら豪華女優陣の競演で描く群像ドラマ

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冒頭から観られる豪華女優陣の競演

作家役の小泉今日子、編集者役の沢尻エリカ、TVスタッフ役の前田敦子…。この作品には主要キャストとして女性8人が登場し、彼女たちを中心に物語は進みます。小泉今日子が演じる作家の敦子が古本屋も営んでいて、その家に女性たちが集まっては恋愛話を繰り広げたりします。

映画においてオープニングは“つかみ”ですが、この作品は小泉今日子と鈴木京香が料理を作っているシーンから始まり、そこへ沢尻エリカが加わる。

つまり、女優たちの存在感が “つかみ”となっているのです。物語を見る作品でありながら、女優を愛でる作品でもある、と冒頭から実感できますよ。

またこの作品は、鈴木京香が演じる小料理屋の女性がいろいろなお客さんに料理を提供したり、“食”を中心に物語が進んでいきます。

そんな中で特に印象に残っているのが、「ご飯を食べている時とセックスをしている時が、差別や戦争とは最もかけ離れている」という台詞。おいしいものを食べている時って幸せだよね、というのがこの作品のテーマということです。

この作品のもう一つの特徴は、原作者の筒井ともみが自ら脚本を担当し、細かいディテールや女性心理がとても良く描かれていること。一昔前は「夫の胃袋をつかむ」なんて言葉がありましたが、この作品においては「自分自身が楽しむために、自分の胃袋を幸せにする」という、ある種のウーマンリブのようなものが表現されているのではないでしょうか。

(映画パーソナリティー コトブキツカサ)

食と性をテーマにした群像劇

名のある女優がたくさん登場する作品であり、“食”と“セックス”というテーマをいろいろな形で見せてくれる群像劇です。

群像劇といえばアメリカではロバート・アルトマン監督が有名ですが、日本では特異な監督を除いて群像劇があまり作られておらず、日本の大作映画にはない珍しい作品と言えます。

群像劇というのはバラバラなキャラクターたちが“ある出来事”を通じて1つにつながっていくという構成が基本なのに、この作品ではあまりキャラクターたちが交錯しません。“食”と“セックス”という言葉のバトンを、女優たちがそれぞれ渡していっているのです。

また女優たちの世代がバラバラで、ある意味“女優史”を見ているよう。これだけの女優たちを揃えて“言葉のリレー”を見せていくという群像劇は、なかなか存在しない日本映画でとても興味深いですね。

(映画館シネマスコーレ副支配人 坪井篤史)

movie info

作品名
『食べる女』(2018年)
監督
生野慈朗
出演
小泉今日子/沢尻エリカ
公式サイト
http://www.taberuonna.jp/
2018年9月21日(金)ロードショー

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