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プロ資格の年齢制限を乗り越えて再挑戦!35歳のサラリーマンが将棋界の歴史を変えた奇跡の実話

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誰にでも起こりうる挫折・苦悩に立ち向かう姿に共感

松田龍平が演じる主人公“しょったん”は、実在するプロ棋士の瀬川晶司。瀬川さんは小学校5年生から将棋を始めて将棋道場に通うようになり、中学3年生で奨励会に入会します。

プロ棋士の養成機関である奨励会で多くの人たちが切磋琢磨し、その狭き門をくぐった人だけがプロになれる。ところがプロになるには年齢制限があり、26歳までに四段へ昇格できなければ退会させられるというシビアなルール。“しょったん”も26歳まで頑張って夢果たせずに終わりますが、それでも人生は続きます。

人生に将棋しかない“しょったん”は、将棋がダメなら人生終わり、というプレッシャーを背負いながら奨励会で青春を過ごしてきました。これってレアなケースに見えますが、例えば学生時代の間ずっとスポーツに励んできた人たちは、大学を卒業したらスポーツをやめて会社に就職するのか?もしそうなら、その人のアイデンティティーはどこで担保するのか?そう考えると、けっこう「あるある」な物語ですよね。

普通の人が“一度きりの人生をどう楽しむか”というシンプルな問いかけを投げかけていて、自分が考えさせられるきっかけになると共に、見ていて共感できますね。

(映画ライター 森直人)

将棋を題材にした青春群像劇

豊田利晃の監督20周年記念映画にあたるこの作品は、実話という原作ありの将棋映画ですが、私は松田龍平が演じる“しょったん”の青春物語として鑑賞しました。

将棋映画といえば、将棋のルールを知らないと物語の世界が分からないという堅苦しい印象があります。豊田監督は実際に将棋のプロを目指していたということもあり、今回も将棋の世界に重きを置いた物語かと思いきや、人物描写の配置が大変興味深い。豊田監督の映画として原作の物語をしっかり映像化しています。

また、豊田監督の20周年記念作ということもあって、豪華オールスターキャストが監督を応援するために揃っています。映画ファンにとってはその面々を見るだけでも楽しいのに、自分が詳しい将棋の世界を描きつつ、“しょったん”の35歳までの挑戦を追いかける。これは豊田監督にしか作れない作品と言って過言ではありません。

豊田監督の監督人生と松田龍平の役者人生、そして“しょったん”の35年間という3本の線が1本に束ねられることで、「こんな新しい日本映画が出来るのか」という思いを抱きました。

(映画館シネマスコーレ副支配人 坪井篤史)

movie info

作品名
『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年)
監督
豊田利晃
出演
松田龍平/野田洋次郎
公式サイト
http://shottan-movie.jp/
2018年9月7日(金)ロードショー

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