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対話の苦手な女の子がハリウッドで夢に挑む!ダコタ・ファニング主演の感動ロードムービー

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自閉症の女性が挑戦する“初めての一人旅”

ダコタ・ファニングが演じるヒロインのウェンディは、自閉症を抱えている女の子。『スター・トレック』が大好きな彼女は、番組生誕50周年を記念した脚本コンテストを知り、自分も応募しようと決意します。

500ページにも及ぶ超大作を一生懸命執筆するのですが、トラブルが起きて郵送だと締切日までに間に合わないことが判明。じゃあ数百km離れたパラマウント本社まで脚本を直接持っていこう!と思い立って長い旅に出るというロードムービーです。

自閉症である彼女にとって、近所の生活圏から外に出ることは初めてだし、いろいろな人と接する必要もあって大変。それでも、自分が書いた脚本を何としても届けたいという彼女の頑張りや、そこから生まれる人間ドラマがとても素敵に描かれています。

ウェンディはトニ・コレットが演じるソーシャルワーカーのスコッティのお世話になっていて、彼女との日課的なやり取りに「相手と3秒目を合わせましょう」というのがあります。でも、ウェンディは他人とコミュニケーションがうまく取れないので目を合わせられない。

そうしたエピソードが、まるで「ウェンディはこういうキャラクターですよ」と宣戦布告するように映画の冒頭で描かれていて、観客はその時点から彼女の“目”に注目して見るようになるわけです。この難しいシチュエーションにおいてダコタ・ファニングは、ウェンディなりの視線のルールや人物像を細かく計算しながら構築しています。

ダコタは自閉症の人と実際に会ったり資料を読み込むことでウェンディ役を研究しましたが、一方で「自閉症の人をただ真似したくない」とも語っていました。つまり、キャラクターの“隙間”に自分らしさを組み込むことで、ダコタは一人の人間としてウェンディを演じたのです。

今回のようなテーマの映画は得てして「泣かせよう」となりがちですが、この作品にはユーモアもあふれていて、ウェンディを通じて考えさせられる部分もたくさんある。やっぱりダコタ・ファニングがスゴイ!ということですね。

(映画ライター 新谷里映)

ユーモアあふれるハートフル・ストーリー

ベン・リューイン監督は前作『セッションズ』でも病を抱えた青年を主人公に描いていて、健常者ではないけど才能や人格に恵まれた人々に温かい視線を注ぎ、とても優しい物語を紡ぐ監督です。

今回の作品はオークランドからロサンゼルスまでの旅を描いた物語ですが、ヒロインのウェンディは自閉症で、施設やバイト先という狭い世界から外に出たことがありません。そんな彼女が、いつもの生活と違う角を曲がって信号を渡り、いつも乗らないバスでロサンゼルスまで旅に出るのです。

こういう旅にはだいたいアクシデントが付きもので、一緒に付いてきた犬のせいでバスから降ろされたり、お金を盗まれたり、乗せてもらった車が事故に遭ったりします。

そのアクシデントの一つひとつは我々からすれば大きな事件ではないのですが、彼女にとっては生きるか死ぬかの大冒険!そんな時にウェンディの頭に浮かぶのは、『スター・トレック』の登場人物であるミスター・スポック。数々のピンチをスポックはどのように乗り越えたか?と考えた彼女は、「前身あるのみ」というスポックの言葉を思い出し、どんな怖いことがあっても旅を進めていくわけです。

『スター・トレック』が好きな人だけに限らず、映画が好きな人にとって誰かしらヒーローがいますよね。自分にとってのヒーローやヒロインを何かの局面で思い出し、その後押しで乗り越えられることってたくさんあります。そういう意味でも、ウェンディの奮闘は映画ファンなら必ず共感でき、勇気をもらえるはずですよ。

(映画ライター 金子裕子)

movie info

作品名
『500ページの夢の束』(2017年)
監督
ベン・リューイン
出演
ダコタ・ファニング/トニ・コレット
公式サイト
http://500page-yume.com/
2018年9月7日(金)ロードショー

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