film talkfilm
talk

親友の死を未解決で終わらせない!今が旬の若手スター競演で描く青春サスペンス

#REVIEW
  1. TOP
  2. FILM TALK

揺れる10代の葛藤と性愛が描かれたサスペンス

この作品の舞台となるワシントンD.C.はホワイトハウスが建つ首都ですが、一方でスラム街があってギャングもいる“危険な街”でもあります。

そんな光と影を併せ持った街で、主人公アディソンの親友が銃撃戦で殺されてしまうのですが、彼が黒人だったことから「ギャングの抗争に巻き込まれた」と片づけられてしまいます。その捜査結果に納得できないアディソンが、ガールフレンドの力を借りて真相を追求するというストーリーです。

注目ポイントは、同世代から圧倒的な人気を集める若手スターの競演です。アディソン役は『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴート。唇がぷっくらしたベビーフェイスが魅力的ですね。

そしてガールフレンドのフィービーを演じるのが、今やファッショニスタとしても注目を浴びているクロエ・グレース・モレッツ。このカップルによる事件調査を中心に展開するのですが、一方で彼らの“ロストバージン”の物語という側面もあります。

つまり、危険な事件を巡るサスペンス、若い男女がベッドインし親密になっていく様を追ったロマンス、そしてアディソンが10代から大人になるために経験する通過儀礼の要素で構成されていて、これらの3要素を集めて手際よく扱うのがとても巧みに感じました。ハリウッドならではのエンターテインメント映画ですね。

(映画ライター 金子裕子)

若者視点でワシントンD.C.の闇を描く

ダブル主演を務めたクロエ・グレース・モレッツとアンセル・エルゴートは『キャリー』以来の競演で、息の合った演技を見せてくれます。監督によると特に大変だったのは、「2人がここで撮影している」という情報をSNSで知って撮影現場に押し寄せた若者たちを整理することだったそうですよ。

事件の真相を究明する一方で、主人公カップルにとっては恋愛も大切。大人から見ると「親友の死の真相を究明したいんでしょ?」とツッコミたくなるところですが、そうしたホットな要素を若きスター2人が初々しく演じているのが、同世代にとってはキュンキュンするのではないでしょうか。

またこの作品には、10代の若者の視点を通じて、舞台となるワシントンD.C.の闇の部分を描くという硬派な一面もあります。

主人公アディソンはビデオ日記を撮るのが趣味で、親友を殺害した犯人を追う際もビデオカメラを回す。そして彼が“立入禁止区域”に足を踏み入れると、街の雰囲気が一気に不穏なムードに変わります。

そうした街をただスクリーンに映し出すのではなく、主人公のビデオカメラ越しに見ることによって、観客もより街の雰囲気をとらえることができます。

(映画コメンテイター 八雲ふみね)

デヴィッド・ボウイの名言にインスパイアされたセリフ

サーシャ・ガヴァシ監督によると、この作品はデヴィッド・ボウイの曲にインスパイアされたところが多いそうです。例えばオープニングのアディソンとフィービーの会話に、「行き先が分からない。でも、きっと退屈はしない」というデヴィッド・ボウイの名言が使われています。

若者たちが大人になっていく中で、どんな将来を描けるのか分からない。でも退屈しないように生きよう!というニュアンスですね。アディソンの部屋にもデヴィッド・ボウイのポスターなどが貼られていて、デヴィッド・ボウイの生きざまを自分に投影したいという主人公の気持ちが伝わってきます。

そしてもちろんエンディングにもデヴィッド・ボウイの曲が使われています。「Wild is The Wind」が流れるエンディングロールでは、アディソンの父親が昔の家族のホームビデオを見ているのですが、その中にチラッと映っている母親がデヴィッド・ボウイのTシャツを着ているんですよ。

デヴィッド・ボウイはすでに亡くなっているわけですが、死後も彼のイズムはこうやって残るんだな…とグッときました。「自分が青年時代に強く影響を受けたデヴィッド・ボウイが現代のティーンエイジャーに伝われば嬉しい」と監督も言っているように、アートというのはこうやって時代を超えて引き継がれていくものなんだな、と感じましたね。青春映画の金字塔といっても過言ではありません。

(映画パーソナリティー コトブキツカサ)

movie info

作品名
『クリミナル・タウン』(2017年)
監督
サーシャ・ガヴァシ
出演
クロエ・グレース・モレッツ/アンセル・エルゴート
公式サイト
http://gaga.ne.jp/criminaltown/
2018年8月25日(土)ロードショー

NEW ARRIVAL