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宇宙人を信じ、SFにロマンを抱く映画のプロ2人が“宇宙人映画の魅力”を語り尽くす!

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<スペシャルトーク参加者>
映画ライター 村山章
映画ライター 相馬学

『エイリアン』シリーズ最新作の原点回帰&進化した恐怖

村山「相馬さんは宇宙人映画のトークに来たのに、そもそも宇宙人を信じていないんでしょ?」

相馬「(笑)映画で描いているのが嘘だってことは、見ている人も十分に分かっているでしょう。どうせ嘘なら、でっかい嘘をついてくれた方が楽しいじゃないですか」

村山「分かりました。ではまず、相馬さんが大好きな『エイリアン:コヴェナント』からいきましょうか」

相馬「宇宙人モノというと侵略や破壊が描かれることが多いけど、あまりリアリティを感じない。でもこの作品のように、“得体の知れないものに寄生される”ってリアルに怖いじゃないですか」

村山「分かる分かる。シロアリの卵のようなものを体に植え付けられたらどうしよう、みたいな」

相馬「『エイリアン:コヴェナント』では新たなパターンとして、エイリアンの胞子が人間の耳の穴から入って寄生する。あれはスゴかったね」

村山「止めようがないですものね。ジワジワとくるショックを与える、『エイリアン』シリーズ第1作に原点回帰したような怖さ」

相馬「そうそう、あのフェイスハガーの衝撃のような。しかも今回は、ネオモーフという不気味な白いエイリアンが登場します」

村山「第1作でH・R・ギーガーが考案したデザインを模しつつも、色やヌメリ方など今までとは違った不気味さがありますね」

相馬「時系列でいうと、今回のネオモーフがH・R・ギーガー版のエイリアンへと進化していくわけ。その過程として、ああした幼虫のようなエイリアンを出すというのは面白いアイデアですね」

村山「この作品で最も怖かったのは、アンドロイド役のマイケル・ファスベンダー。頭がおかしくなったアンドロイドなんて、人間には手がつけられないじゃないですか。単なる暴走なのか、人類の及ばない境地まで辿り着いたのか…」
相馬「物語の冒頭で、アンドロイドが創造主ウェイランドと問答するシーンがありますよね。その内容を覚えておくと、なぜアンドロイドが暴走するのか、なんとなく見えてきますよ」

ショック描写の限界を塗り替えた『遊星からの物体X』

相馬「続いては、今ではSF映画の古典と言える『遊星からの物体X』。さっきも言ったけど、やっぱり寄生って怖いね!」

村山「確かにこの作品は、寄生されるタイミングがまったく分からないように描かれていて怖い。だから隊員たちも「こいつが寄生されたかも」なんて疑心暗鬼になるわけですよ。しかも寄生された生物が、体が伸びたり割れたり、次々と姿を変えていく。『これ以上のことは起きないだろう』という常識を変えてくれた映画です」

相馬「しかもCGじゃなく、実際にモノを作り出す特殊効果で描いているんだよね」

村山「本物ならではの説得力があります。特殊効果がもたらすショック描写の分岐点となった作品と言えるでしょう。生き残った2人が互いに相手が寄生されているのか探り合う、静かなラストシーンにもぜひ注目してください」

宇宙人とのコンタクトを描いた新旧名作『未知との遭遇』『メッセージ』

村山「『未知との遭遇』はもちろんファンタジックな要素もありますが、現実味のある宇宙人との出会い方を検証した作品だと思います」

相馬「スティーヴン・スピルバーグ監督らしい作品だよね。宇宙人のビジュアルも、まばゆい光の中にうっすらとシルエットだけが映し、はっきり姿を見せない神秘的なムード」

村山「恐ろしい神秘というより、宇宙から来た生命体に対する科学的な興味を含めた意味での神秘なんですよね。友好的な遭遇という見方ができる一方、果たしてこのような形の遭遇で良かったのかどうか分からない。でもこの作品の一番すごいところは、なんとなく選ばれた人々が宇宙人と接触したり宇宙へ旅立っていくという、大きなテーマをざっくりと肯定していること。大人げない夢のような話をとてつもないスケールで描いていることが、この作品を特別なものにしているんじゃないでしょうか」

相馬「この映画を見た後って、宇宙人と交信する時に弾くメロディーが頭に残る(笑)。あれは面白いアイデアだよね」

村山「人類が弾いた音を宇宙人が弾き返してくれる瞬間は「おーっ!」となりますよね。こんなクライマックスシーンが成立している映画って、それ以降に存在しないんじゃないですか?」

相馬「いやいや、2016年の『メッセージ』で、『未知との遭遇』以来となる宇宙人とのコミュニケーションが描かれているよ」

村山「そうだった。謎の宇宙人とガラス越しにコミュニケーションするよう頼まれた言語学者エイミーが、まず相手の言語を探るところから始めるんですよね。宇宙人のビジュアルは古風なタコ型のようで、その形にも意味があるように思えてきます。そんなビジュアルを原作小説から落とし込む発想がスゴい!」
相馬「見ているうちに宇宙人のメッセージが『こういうことか』と登場人物と一緒に分かってくる、体験するタイプの映画として楽しんでほしいですね」

宇宙人とのコンタクトを描いた新旧名作『サイン』

村山「『サイン』は私の大好きな宇宙人映画。M・ナイト・シャマラン監督はどんでん返しで注目されるようになった人ですが、その“どんでん返しがある”ことをさらに“どんでん返し”したような作品ですよね(笑)。何より衝撃的だったのは、中盤で宇宙人が登場するシーン。ニュース映像の中を宇宙人が横切り、しかもカメラ目線になるんですから(笑)」

相馬「そういうタイプの映画だと思わないまま見ていたからね、あのシーンが登場するまで(笑)」

村山「あの瞬間から『あ、この作品は笑っていいんだ』と気づきました(笑)。例えば、宇宙人に頭の中を読まれないようにアルミホイルを丸めて帽子にするとか、登場人物が真剣であればあるほど面白い。怖いことが起きているというシチュエーションを笑い飛ばしています」

相馬「人類全体ではなく、主人公の一家の目線だけで描いているからだよね。そういえばこの作品の宇宙人は身体能力が相当高いけど、普通なら勝ち目がないでしょ?」

村山「そこをどんなトンチで乗り越えるのかは見てのお楽しみということで(笑)。『サイン』のおかげで宇宙人映画の可能性がさらに開いたと言えるんじゃないでしょうか」

PROGRAM INFO

特集「24時間宇宙人マラソン」(全11作品)
スターチャンネル1 7/21(土)24時間一挙放送ほか